西行筆と伝えられる山家心中集は(5)臨書して

5.月まつと

山家心中集 伝西行筆 祥香臨

釈文:「つきまつと いひなされつる よひのまの
    心の色を袖に見えぬる」

用字は、「つき万つとい日奈されつるよひのま能
     こヽろのいろを曽てにみえぬる」

鑑賞:一行目と二行の行間に注目したい。中程下の「れつ
   る」と二行目の「にみ」は接触するかのように近づい
   ている。

   しかし、わずか「に」が「れ」の点画に挑むようにし
   ながら、「み」で遠ざかっていく。「に」の画の短さ
   も絶妙である。

参考文献:山家心中集 二玄社