谷川は木の葉も氷に閉じ込めて(2)建礼門院右京大夫集より

2.川底では水音が

建礼門院右京大夫集 祥香書

釈文:「谷川は 木の葉とぢまぜ こほれども
    下には絶えぬ 水の音かな」

選字は、「谷川者木の葉と地ませこほ連と毛
     し多耳盤絶えぬ水農於と哉」

歌意は、「谷川の水は木の葉もともに閉じ込めて凍っているけれ
     ど、底の方では絶え間なく水音がしています。まるで
     心の底ではいつも咽び泣いている私のようです。」

鑑賞:谷川の水が、外から見ると何事もないように凍っているけ
   れども川底では静かに絶え間なく流れる水を自らに引き寄
   せて詠んでいます。ここでも、自然描写と自分の心情を関
   連づける手法が取られています。

 参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社