晴れも曇りも定めがない空に(7)建礼門院右京大夫集を書いて

7.鳴子の音が

建礼門院右京大夫集 祥香書

釈文:「秋すぎて 鳴子は風に のこりけり
    なにのなごりも 人の世ぞなき」

選字は、「秋春支て鳴子は可勢爾能こ里希利
     那耳の難こ梨も人農世曽な支」

歌意は、「秋が過ぎても鳴子は風に乗って今も寂しい音をたてて
     います。人の世には何の名残もなく昔のことを思い出
     すよすがもなく寂しいことです。」

 参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社