初めて見そめたような星月夜(2)建礼門院右京大夫集から
2.丑二つ頃だったでしょうか

釈文:「ひとへに曇りはてぬものから、むらむら星うち消えした
り。引き被きふしたる衣を、更けぬるほど、丑二つばか
りにやと思ふほどに引き退けて」
選字は、「ひと遍耳供も利者
傳ぬも乃可羅無らヽヽ星う地きえ志
多梨ひ支被き布四たる衣越ふ希
ぬ流本と丑ニ徒者り爾やと思婦ほと爾
引支能介て」
大意は、「すっかり曇りきってしまわないで、まばらな星が、か
すかに見え隠れしていました。衣を頭まで被って寝て
いたので、夜が更けるほどに午前ニ時半頃だったで
しょうか。」
参考文献:「建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社