初めて見そめたような星月夜(1)建礼門院右京大夫集から

1.十二月の頃

建礼門院右京大夫集 祥香書

月の美しさを愛でる歌は数多いのですが、星の夜に着目した歌人として建礼門院右京大夫が知られています。詞書にも風情が感じられますので見ていきましょう。

釈文:「十二月ついたち頃なりしやらむ、雨とも雲ともなくうち
    散りて、むら雲さわがしく」

選字は、「十二月つい多遅頃奈り志やら無夜二
     入利て雨とも雪と毛那久うち地里てむ
     ら雲沙わ可し九」

大意は、「十二月一日頃だったでしょうか。夜になって、雨とも
     雪ともつかないものが散らついて、雲の行き来があわ
     ただしく」

 参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社