資盛の邸跡に虫の声が(6)建礼門院右京大夫集から

6.ふるさとよ

建礼門院右京大夫集 祥香書

釈文:「またさらに 憂きふるさとを かへりみて
    心とどむる こともはかなし」

選字は、「ま堂佐ら耳憂支布さと越
     か遍り見て心とヽむ流こと裳は可奈志」

歌意は、「また、もう一度つらい思い出の昔親しんだ邸の跡をかえりみて懐かしく
     思い、立ち去りがたいことも、はかないことです。」

鑑賞:「ふるさと」は古くからのなじみの土地。もとの住まい。
   『古今集』春上 「人はいさ心も知らずふるさとは
            花ぞ昔の香(か)ににほひける」の例があります。

 参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社