資盛を弔い源氏物語を思い出して(8)建礼門院右京大夫集を書く

8.十悪とは

建礼門院右京大夫集 祥香書

真実にそむいて巧みに飾り立てたことばを「綺語」といい、十悪の一つとされますが、他に
どういうものがあるのでしょうか。

十悪とは、仏教語で身・口・意の三業がつくる10種の罪悪です。
殺生・偸盗(ちゅうとう)・邪淫・妄語・綺語・悪口(あっく)・両舌・貪欲・瞋恚(しんい)・邪見の総称です。
一つずつ見ていきましょう。

殺生は、生き物を殺すこと。仏教では最も重い罪の一つとされます。
偸盗は、人のものを盗むこと。またその人。
邪淫は、よこしまで、節度のないこと。

妄語は、うそをつくこと。法を会得していないのに会得したように言うことや、不実な言葉。
悪口は、人をあしざまに言うこと。またその罪。
両舌は、二枚舌を使うこと。

貪欲は、欲望にまかせて執着しむさぼること。
瞋恚は、自分の心に逆らうものを怒り恨むこと。
邪見は、因果の道理を無視する誤った考え方。

綺語は、十悪の一つであり、また美しく飾った言葉を指し、多く、小説・詩文の美辞麗句をいいます。「狂言綺語」とも使われます。

資盛が迷わないように仏の道を示してほしいと願う作者は、詩文にも長けており、物語などの教養も十分にありました。

 出典:デジタル大辞泉 小学館