資盛を弔い源氏物語を思い出して(2)建礼門院右京大夫集を書く
2.尊勝陀羅尼
「尊勝陀羅尼、何くれ、さらぬこともおほく書かせなどするに、『なかなか見じ』と
思へど、さすがに見ゆる筆の跡、言の葉ども、かからでだに」
選字は、「尊勝陀羅尼なニ
九連佐らぬこ登毛於本久書かせ奈と
須る耳那可ヽヽ見事と思へと沙す可
爾み遊る筆のあと言の葉ともかヽ良
て多ニ」
鑑賞:「尊勝陀羅尼」は、仏頂尊の功徳を説く陀羅尼。87句から成る。梵文の呪文で
霊験ありとされ、 密教や禅宗で用いられます。
大意は、「何やかやと、それ以外も多くを書かせなどするところに、『なまじ見るまい』
と思っても、やはり目に入る筆跡や言葉はこのような時でなくても」
作者は資盛の為に、梵字を書いて霊験を願い、極楽浄土を祈ります。
参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社