翌春に資盛の悲報が(2)建礼門院右京大夫集から
2.ただぼんやりとして
資盛の悲報を聞き、なにもせず呆然とする日々を送る作者は、
「みなかねて思ひしことなれど、ただほれぼれとのみおぼゆ。あまりにせき
やらぬ涙も、かつは見る人もつつましければ、なにとか人も思ふらめど」
選字は、「み奈可ね天思ひしこと那連と多
た本連ヽヽ度農みおほゆ あま
利耳勢支やらぬ涙も可徒者見
流人毛つヽまし介れ盤奈良二と
可日登も於毛布羅免と」
大意は、「すべて思っていたことですが、ただぼんやりとするばかりです。とめ
度なく流れる涙も、一方ではそばで見ている人も遠慮されるので、ど
うしたことかと思うでしょうから」
参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社