母の四十九日忌に(4)建礼門院右京大夫集より

4.着物の折り目までも

建礼門院右京大夫集 祥香書

母の着物の折り目までもそのままな様を見て、詠んだ歌が
着なれける 衣の袖の 折り目まで
 ただその人を 見る心ちして


選字は、「着な連ける衣の處傳農折利免
     まて多ヽ曽の非とを見る心遅して」

歌意は、「亡き母が着慣れていた衣の袖の折り目までが同じで、
     ただ母が目の前におられる気持ちです。」

母上の在りし日のお姿を眼前にするようで、かなしくてつらい心が表れています。

 参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社