蘇軾・秋の清々しさを詠う(5)和分與可洋川園池うち二首

5.一幅の絵のよう

蘇軾作 何紹基書 祥香臨

夕日を浴びる朱色の欄干と彩られた橋脚が、湖に映ります。そこをゆっくりと白い服と黒い帽子の人物が現れます。鮮やかな色彩を背景にして、白と黒に色が対照的で、一幅の絵画のようです。

主役の人物、文與可は文人画の画家であることから、色彩の用い方が特徴的です。多くは、モノクロの背景に彩色されていくことでしょうが、ここでは色がまず初めにきて、あたかも点描のように白と黒が動いていきます。

何紹基は、内に力のこもった書線をみせ、時折長く伸ばす斜めの線が印象的です。
「紗」「君」は、細いながら、リズムを紙面に与えています。こうした、直筆で変化にとんだ書線は何紹基の広い学習に裏付けされていると思われます。

 参考文献:漢詩と名蹟 鷲野正明 二玄社