大人先生の評判を聞いて(1)酒徳頌を臨書する

1.貴介公子がやってきた

酒徳頌巻 祥香臨 二玄社

有貴介公子
 縉紳處士

読み下し文は、「貴介公子、縉紳處士というもの有り。」

「貴介公子」:身分の高い家柄の若者。この場合、架空の人物。
「縉紳處士」:しんしんしょしと読み、高貴有徳の人。やはり架空の人物。

「縉紳」は赤白色の帯、またはそれをつけていること。転じて貴人をさす。
「處士」は、仕えていない士。後には優れた人物をいう。*①

現代語にすると、身分の高い家柄の若者や高貴有徳といわれ、優れた人たちがいました。

ここでは、場面が展開して、世の中では身分が高く優れているといわれる人物が登場します。これが言葉通りかどうかは次第に明らかになっていきます。

出典:*① 漢詩と名蹟 鷲野正明 二玄社