字を書く姿勢(4)書を始めてみて

4.全身で書く

晋の衛夫人『筆陣図』に次のようにあります。
「筆を下ろすに、点画・芟波・屈曲は、皆須らく一身の力を尽くしてこれを送るべし」

(字を書く時に、点画や左右のはらいや転折では、みな必ず全身の力を尽くして筆を運ばなければいけない)*①

衛夫人は、王羲之の師としてだけでなく能筆家としても著名です。つまり、衛夫人によると、全身の力を用いて運筆するように説いています。ただ、力任せにすることではありません。それどころか、全身の力が、スムーズに滞りなく流れ、筆に伝わることが肝要です。

言葉で表すと、それぞれの方の解釈することが異なることがあります。そこで、ご自身の体の様子が、わかるような状態でいることも大切になります。

 出典:用筆の基本技法 森高雲 木耳社