春の夜には(1)詠じたい詩歌
1.青春の日は過ぎやすい
春夜「背燭共憐深夜月
踏花同惜少年春」
読み下し文「燭(ともしび)を背(そむ)けては 共に憐れむ深夜の月 花を踏んでは 同じく惜しむ少年の春」
意味は、「燭台を壁の方に向けて、友人と一緒に深夜の月を賞でようではないか。また、庭に散った花を踏んで、青春の時が過ぎゆくのを惜しもう。」
この句は、青春があっという間に過ぎてゆくのを嘆く句として、『謡曲』俊成、忠度などに引用されています。
春の夜は待ち望んでいても、思いのほか短く過ぎてしまうことと、青春の時が早く流れることを重ね合わせているのでしょう。
参考文献:和漢朗詠集 川口久雄 講談社