ひそやかに漂う香り(1)梅を詠う

1.山園小梅

山園小梅二首 其一と題された、北宋・林逋の漢詩をご紹介します。七言律詩の形式を取り、梅をうたった名作として知られています。吟詠にも好まれています。

作者の林逋(りんぽ)(967〜1028)、字は君服。銭塘(現在の浙江省杭州市)の人です。
博学で、詩・書に優れ梅を賞し鶴を飼ったので『梅妻鶴子』といわれた。西湖の孤山に隠棲し、生涯仕官しなかった。没して仁宗から「和靖先生」の諡を賜った。*①

また書は、最高の文化人の風気をうかがうに足る三人の筆頭に林逋をあげ「李建中に似てやや痩せていると評されている。唐人の法を学んだ正直な書風である。」*②

こうしたことから、今回は行書で林逋の漢詩を味わいたいと思います。

 *出典:① 漢詩をよむ 佐藤正光 NHK出版
     ② 書の歴史 伏見沖敬 二玄社