住吉詣でをしたあの人から(2)建礼門院右京大夫集

2.わすれ草をおいて

建礼門院右京大夫集  祥香書

資盛から、手の込んだ贈り物の上に、和歌が結びつけてありました。
このような、きめ細やかな心遣いを見せられた建礼門院右京大夫は、さぞうれしかったでしょう。
ところが・・・

 「洲浜のかたむすびたるに、貝どもをいろいろにいれて、わすれ草をおきて、
  それに縹の薄様に書きて、むすびつけられたりし。」

用字は、「す者まの可堂无徒日多璽か飛と
     も越いろヽヽ耳意れ天王数連く
     佐をおき傳曽連に盤奈多のう須

     やう璽か支てむ春ひ徒介られ堂
     里し」

「洲浜」とは、洲浜の形にかたどった台に岩木・花鳥・瑞祥のものなど景物をもうけたものです。
ここに、いろいろな貝を入れて、さらにわすれ草を置き、縹(はなだ)の鳥の子紙に色がだんだん薄く
なるようにしたものに歌が結びつけてあったのです。

想像するだけで、繊細な美しさに目を奪われるようです。
 参考文献:建礼門院右京大夫集 新潮社