朝霧のようにおかくれに(1)-建礼門院右京大夫

1.建春門院のご冥福を祈って
つい先頃までお元気でいらした建春門院が、安元二年(1176)七月八日、三十五歳の若さで崩御されました。その御冥福を祈り、天皇が自ら法華経を写経されたのです。

内裏で参列された方々は、華やかであり趣が深く、しみじみと感動的な場面です。
現代では、僧侶による施食会やお式などで拝見した光景が浮かびます。縁のある殿上人
が、参列される様は、荘厳な美しさをふりまいたことと思います。

今回の場面では、まず(イ)法華経を講じる御八講の中の五巻が焦点になります。
次に、(ロ)この時に参列の女院方の顔ぶれです。縁ある方々はどれほど参列されたのでしょうか。
そして、(ハ)御捧物をお持ちになられた方々のメンバー構成です。
最後に、(ニ)こうした詞書を経て、詠われた和歌一首についてです。

建礼門院右京大夫集  祥香書