建礼門院右京大夫集-宮仕えの日々(3)

3.建礼門院のお母上
母の家系、大神氏は笛で代々乗所(宮中で雅楽をつかさどる所)に仕えた伶人の家柄です。祖父基政は崇徳上皇時代の、

笛の名人でした。母は、夕霧、「ことひき」として著名で、詠歌のたしなみもありました。

建礼門院は父母の両方の家系から受け継いだ天分を、宮中で少しずつ発揮してゆくことになります。

書き出しからみていきましょう。

建礼門院右京大夫集  祥香書

釈文「家の集などいひて、歌よむ人こそ書きとどむることなれ、これは、ゆめゆめさにはあらず。ただ、あはれにも、かなしくも、なにと

なく忘れがたくおぼゆることどものあるをりをり、ふと心におぼえしを思ひ出でらるるままに、我が目ひとつに見むとて書きおくなり。」

     出典:建礼門院右京大夫集 新潮社