「六つのみちを」道元は(2)
2.苦しむ人々を救う
道元が六道について詠まれた歌があります。
釈文:六つのみち
をちこち
迷ふとも
がらは
わが父ぞ
かし
母ぞ
かし
地獄の業火に焼かれる男女。赤児の四肢に噛みついている男女。野獣のごとく揉みあい血を流す男女。このような世界の男女をこそわが父・わが母と思って救い出さねばならない。*①
「かし」で自らに言い聞かせる気持ちが表されているでしょう。
出家をするということは恩愛の世界を捨て、無為の世界に入るのです。
そのことが、「正法眼蔵随聞記 三の十六 父母の報恩等のこと」に記してありますので、次回に読んでいきます。
*出典:道元の和歌 松本章男 中公新書