良寛さんの書「天上大風」(1)
- 良寛さんが凧に書いた?
良寛(1758〜1831)は江戸時代後期の禅僧、歌人です。越後國出雲崎の生まれで、諸国行脚の後、帰郷して国上山の五合庵などに住み、村の童子たちと親しくしました。号は、大愚、脱俗生活を送り、書、漢詩や和歌に優れた作品を残しました。
「天上大風」は良寛の代表作としてよく知られています。一説には子供にせがまれて凧に書いたものと言われていますが、定かではありません。
「天」は第一画と第二画の間隔が広くなっています。
「上」やや小ぶりで、画が近接しています。
「大」は右の行の「天」に対して小さく書き、終画の払いが短くなっています。これは、
右の余白へ配慮したものと思われます。
「風」の第三画はハネに特徴があり、思い切って上へ張り出しています。
筆遣いが独特で、楷書の極則と言われる初唐の「九成宮」にあるような構築的な字形や、筆法は見られません。
良寛はどのように書を学んだのでしょうか。現代では、古典の臨書によって学習することが多いのですが、良寛も臨書によって学んだと思われます。それというのも、知人宛の手紙に「懐素自叙帖」の語が見え、良寛の署名が記された「秋萩帖」の模刻本も現存しているからです。
次回は、良寛が臨書した「秋萩帖」を見ていきましょう。
参考文献:書の古典と理論 全国大学書道学会編