こういう時は聖教序を臨書しよう(2)

2.行書の範として  On the model of Gyousho

           集字聖教序  王羲之  二玄社            祥香臨

行書を学ぶ方は必ずと言ってよいほど、一度はこの臨書に取り組むことと思います。
この碑の建立後、この書法を受けていわゆる「院体」と呼ばれ尊ばれました。また、
明代中期以降は、蘭亭叙とともに行書の典範として敬われています。

書家の村上三島氏は、書物の中で「私に書を習いたいといって人がくると、『何年
お習いになりましたか』と聞く。『いや一度も習ったことがないのです。。学校を
卒業してから久しぶりに筆を持つことになります。』そんな人には『では行書から
習い初めてもらいましょう」と、必ずこの興福寺断碑か、集字聖教序を臨書してあ
げることにしている。」と述べておられます。

また、通常は楷書から学ぶ場合が多いのですが、行書は柔らかい線があり、丸みを
帯びた点画は日常生活にも役立ちます。

日頃、活字のようなかっちりとした文字を見慣れていますと、聖教序の漢字は少し
歪んでいるのではないだろうかと、お考えの方もおられるでしょう。

ところが、その字形が微妙にズレて見えながらバランスを保っているところにこそ
行書の範たる聖教序の真骨頂があるのです。
次回からその魅力を探っていきましょう。