こういう時は聖教序を臨書しよう(3)

3.不調和のバランス

集字聖教序  王羲之   二玄社       祥香臨

ア)ふところの広狭
文字の中の余白に、広いところと狭いところがあります。
例えば、「而」では一行目の二字目、左に大きく張り出しているため、左の空間が
右に比して広くなっています。

それに対して、五行目の中ほどの「而」は逆に右に張っているため、右の余白の方が
広くなっています。どちらも、真ん中には付置していないので、動きが出てくるのです。

イ)中心を移動
文字の中心や重心が、移動しています。
例えば、三行目の最後の字でにある「崇」です。上部の冠、「山」と下部の「宗」は
真ん中に線を引いてみると、中心がずれていることがわかります。

「山」冠よりやや右寄りに「宗」が位置しているので、「崇」全体でみたときは、動的
な感じがします。これは、書道ではいわゆる「すわる」ことを好まないからです。
止まって動かないように見えると、一字ずつが独立してしまい、流れもなくなるので、
それを避けるため中心を移動させています。