良寛の書、一行物は茶掛になる(2)
2. 次は内容
墨跡が床の間にかかっていたら、筆者の次は内容です。
「白雲流水共に依々たり」
白い雲と流れる水が、ともにぼんやりと見える。
のんびりとした光景が広がっているようです。
第三は、筆勢になります。筆勢をいかに見るかは、それほど簡単ではありません。なぜならば、勢いよく書かれているからといって、筆勢があるわけではないからです。筆勢は、筆の持つ弾力を生かして、それを失わないように運筆することが大事なのです。
ここに良寛が手元に置いて学んだと言われる、懐素の「自叙帖」の臨書があります。
この場合、指や腕を楽にして、体全体を使うようにすることが肝要ですが、良寛も気持ちをゆったりとして書かれたと思われます。
釈文:「然れども未だ遠く前人の奇迹を能わず、見る所甚だ浅きを恨む。遂に担い」*①
現代語訳:まだ、よく古人の書いためずらしき筆跡を見ぬ一事である。この見るところが大いに浅いから・・・」*②
*出典:①懐素 自叙帖 台北故宮博物館蔵
②墨場必携