七夕の日にちなみ五十一首を(4)建礼門院右京大夫集から
4.この約束は
釈文:「契りける ゆゑは知らねど 七夕の
年にひと夜ぞ なほもどかしき」
選字は、「遅記り介流ゆゑ者し羅年と七夕の
登志耳日と夜曽那本もとかし支」
鑑賞:「もどかし」は動詞「もどく」の形容詞形。さからって非難する。とがめる。『源氏物語』宿木「世の人に似ぬ心の程は皆人にもどかるまじく侍るを」
歌意は「こういう約束をしたわけは知らないけれど、七夕の二星が年に一度だけ、七月七日の夜にしか逢わないのは、やはり非難したくなる。」
参考文献:建礼門院右京大夫大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社