同じ枝で鳴くほととぎす(1)和泉式部日記より

1.返事を待っていると

釈文:「まだ端におはしましけるに、この童、かくれの方に気色ばみけるけはひを御覧じつけて、『いかに』と問はせ給ふに、御文をさし出でたれば、御覧じて」

選字は「また者し爾於盤志まし介流二この童 か久連能万爾気色者み希る遣は飛奈 御覧しつ介弖、意か耳とヽ盤せ多まふ二 御文を散し出天多れ者御覧して」

鑑賞:「端」縁先。童の帰りを待っていた敦道親王である。
大意は「童の帰りを待ちわびていた宮が、ものかげから合図をしておられるのに気づいた。どうでしたか、と問うみやにこちらですとお渡しし、ご覧になった。

参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村誠一校注 新潮社