七夕の笹に五色の糸をかけて(4)建礼門院右京大夫集より

4.雲のころもの

釈文:「たなばたの あかぬわかれの 涙にや 雲のころもの 露かさぬらむ」

選字は「七夕の阿か努わ可麗の奈美多二や 供も農こ路毛のつ遊可さぬ羅无」

鑑賞:「雲のころも」は織女星から関連して思い出して、雲を織女の衣に見立てていう。例えば『万葉集』(巻十)「天の川霧たちのぼるたなばたの雲の衣のかへる袖かも」

歌意は「織女の名残つきないわかれの涙で、雲の衣が露をたくさん含んだのだろうか。今にも降りそうな空模様だこと。」

参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社