後の世語りにも(4)和泉式部日記から

4.恋といへば

釈文:「すなわち、今のほどもいかが。あやしうこそとて、
恋といへば世のつねのとや思ふらん けさの心はたぐひだになし」

選字は「寸奈 盤千今のほと毛い可か阿やしうこ所とて
恋とい遍はよ能つ年の登や於母布ら無 介佐農こヽ楼者多倶日多耳奈志」

鑑賞:「あやし」宮のこのお言葉はご自身の幸福に比して不思議に思われ、心ひかれる様を述べたと思われる。

大意は「帰るとすぐさま、けさのご機嫌はいかがですか。私の方は不思議に思われます。」
歌意は「恋といえば、世間によくあることと思われるかもしれませんが、今朝の心は他に比べようのないものです。」

参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社