端午の節句に感じ、いだく思ひ(3)建礼門院右京大夫集から

3.菖蒲の御輿に

釈文:「五月五日、菖蒲の御輿をたてたる御階(みはし)のあたり、軒のけしきも、見しにもかはらぬにも」

選字は「五月五日菖蒲の美こし多傳堂る 御階のあ多り軒の希志支も見事 耳毛か者らぬ爾裳」

鑑賞:「菖蒲の御輿」は端午の節句の菖蒲を盛った輿。六衛府および典薬寮から奉って御殿の軒に飾った。「御階」は階段の敬称。特に宮中、紫宸殿(南殿)の南にあるものをいう。

大意は、「五月五日に菖蒲を飾った御輿をたてた階段の辺りに菖蒲をふいた景色も変わらないのに」

参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社