波の底に住んでいるという風説が(1)建礼門院右京大夫集から

1.湖水のおもては

建礼門院右京大夫集 祥香書

資盛ら平家の一門は亡くなっておらず、どこかに住んでいるという風説がありました。

釈文:「海のおもては、深みどりくろぐろと、おそろしげに荒れ
    たるに、ほどなき見渡しのむかひに、うるはしき舟路に
    て」

選字は、「海の於もて者深みとり具露ヽヽとお所
     ろし介にあ連たる耳本登奈き
     見渡志のむ可比爾う類盤し支舟路に
     て」

大意は、「湖水の表面は深緑が濃くて、ひどく荒れて、それほど
     遠くない前の方にはっきりとした航路で」

 参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社