藤の花房が美しい季節に(2)和漢朗詠集を臨書して
2.去りゆく春に
釈文「紫藤露底残花色、
翠竹煙中暮鳥聲」
書き下し文は「紫藤の露の底(もと)に残んの花の色
翠竹の煙の中に暮(ゆふべ)の鳥の声」
現代語にすると、「露のおりているところに散り残る紫の藤の花や、煙って見えるみどり色
の竹の奥から聞こえる夕べの鶯の声に、春の気分が少し残っています。」
源相規作
春が去った後に藤が落花し、厳密にはこの詩は夏を謳っています。
鑑賞:菅家文草(900頃)「翠竹疎籬下、脩脩翫碧鮮」
参考文献:和漢朗詠集 川口久雄 講談社学術文庫