江南の春・杜牧(1)漢詩を書く

1.春の情景を歌う

杜牧詩 祥香書

杜牧の著名な漢詩『江南春』は変化に富んだ春の情景を歌っています。
起句
千里鶯啼緑映紅

書き下し文は「千里鶯啼いて緑紅(くれなゐ)に映ず」
現代語にすると、「千里四方のいたるところに鶯が啼き、柳の緑と桃の紅
が照り映えています。」

まさに今迎えようとしている季節にほかなりません。
鑑賞:「千里」は千里四方。非常に広い面積。いたるところ。
   どこまでも続く江南の平原であちらこちらにウグイスが鳴いています。
   江南地方は長江以南、特に江蘇・安徽・江西三省の長江南岸の一帯を
   さします。

   北宋の蘇軾は後に「柳緑花紅」と詠じ、自然の美しさを謳いました。
   まさにこれから迎えようとしている季節にほかなりません。

 参考文献:書で味わう漢詩の世界 石川忠久著/吉澤鐡之書 二玄社