夢よりもはかないあの方との間を(1)和泉式部日記を書いて

1.はかないものの中で

和泉式部日記はかつて『和泉式部物語』と呼ばれた。情熱的で奔放な性格の和泉式部が自身のことを書いたといわれる。こうした一般的な見方から離れ、新たな和泉式部を贈答歌を書きながら見ていきたい。

釈文:「夢よりもはかなき世の中を、嘆きわびつつあかしくらすほどにもなりぬれば、四月十余日にもなりぬれば、木のしたくらがりもてゆく。」

選字は「夢よ利もは可奈幾世の中越那希支 わ悲徒あかし久羅春ほと耳四月 十余日璽裳難りぬ連八木のし多倶ら可 梨も傳ゆ久」

参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社