しのぶ恋の始まりは、資盛への思い(3)建礼門院右京大夫集を書いて

2.お手紙を見られませんように

建礼門院右京大夫集 祥香書

手習いに詠んだ歌の三首から初めの一首です。
 「散らすなよ 散らさばいかが つらからむ
  しのぶの山に しのぶ言の葉


選字は、「ち羅寸奈よ遅ら佐者い可ヽ徒ら可
     ら無し能布農やま爾志の
     ふこ登の葉」

歌意は、見られないでほしい、見られたらどんなにか恥ずかしいことでしょう。人目を忍んで詠んだこの手紙を。

この歌は、「ち」で小さく始め、「羅」字の幅をとっています。同じ意味の「散らす」ですが、あえて選字は変えています。もし、「散らす」「散らさば」と書いてしまうと、単調になってしまうからです。一行目をつめて書いているので、二行目は「し」や「布」、「や」と伸びやかな文字を用いています。

 参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社