書いてみたい山頭火(3)漢字かな交じり書
3.青い山
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この句は、大正15年4月10日に味取観音堂を出てから、九州の高千穂付近で詠まれたと言われています。初夏の候に山を分け入って進むが、どこまで分けいっても青い山ばかりであった。
率直な感想を述べた句です。そのため、句が若いとも言われます。*①
ただ、実感としてこのように詠んだ句は新鮮に感じます。書にすると、どうしても変化をつけたくなりますが、素直な句はそのままに書くこともよいでしょう。
ここでは、一行目の「分」と三行目の「分」に少し変化が見られます。文字の表情は、向きや大小、細太などで表されます。日常的に用いている文字には、あまり変化がないために、作者の気持ちを意識することも大切です。
*出典:種田山頭火 金子兜太 講談社