交わしたい歌の贈答(2)紅葉の頃に北の方より

2.紅花で染めた紙に

建礼門院右京大夫集 祥香書

釈文: 「かへし くれなゐの薄様に
われゆゑに君が折りける 紅葉こそ
なべての色に 色そへてみれ


選字は、「可遍し 久れなゐの薄様に

王れゆ惠耳支み可折利希流
紅葉こ處な遍弖の色爾いろ
そ邊轉三れ」

大意は、お返しの歌を紅花で染めた紙に書いて贈った。
私のために、あなたが折ってくださった紅葉、その美しい色にあなたの御心が重なって一層味わい深いものがあります。

ほのぼのと温かい心遣いが、偲ばれて宮中での微笑ましい一コマです。
参考文献 建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江 新潮社