何も思いわずらうことがない(3)酒徳頌から

3.陶然として

酒徳頌巻 董其昌 祥香臨

枕麹藉糟無思
 無慮其楽陶〃


読み下し文は、「麹を枕にし糟(かす)を藉(し)き、思うこと無く慮ること無く、その楽しみ陶〃たり。」

「枕麹藉糟」:麹を枕にし酒粕を敷いて横になる。
「無思無慮」:考え思う事がない。後ほど述べることにします。
「陶陶」  :和らぎ楽しむ様子*①

現代語にすると、「麹を枕にし酒粕を敷いて横になり、考え思うことが無く、和らぎ楽しんでいるようでした。」

一方で、議論が白熱しているのに対して、大人先生は全く意にも介せず酒を楽しんでいる様子が表されています。

 出典:*① 漢詩と名蹟 鷲野正明 二玄社