月は所によって明るい他(1)建礼門院右京大夫集

1.月は場所によって明るい

建礼門院右京大夫集  祥香書

今回の題は漢字で書いてあり、歌はやまと言葉で歌われています。女手は仮名、男手は感じと思いがちですが、教養のある方々は両方たしなんでいたのでしょう。「月光も場所によって特に明るい」という題で詠まれています。

  「名にたかき姥捨山のかひなれや
   月のひかりのことにみゆらむ」

選字を「名に多可幾姥捨山のか比な連
    や月の飛かり農許と耳三
    ゆ羅无」

「姥捨山」は長野県善光寺にある観月の名所であることから、特に明るい月の光を詠んでいます。

 参考文献:建礼門院右京大夫集 新潮社