恋にも様々あり題詠歌(4)建礼門院右京大夫

4.ひとり寝のわびしさを・・

建礼門院右京大夫集  祥香書

今回の題は「ねざめの擣衣」とは、寝覚めて聞く砧の音の意味です。衣を打って艶を出したり、柔らかくしたことです。

 「うつ音にねざめの袖ぞぬれまさる 
  衣はなにの ゆゑとしらねど」

選字は、「う徒音耳ねさ免の袖そぬ連
     ま散るころ裳八なに農ゆ衛
     とし羅年度」

変体かなと感じを組み合わせることで、いくらか読みやすさを心がけました。慣れていませんと読みこなすことも難しいかもしれません。

意味は、「夜に目覚めて、衣を打つ音を聞いていると、自分と同じようにひとり寝のさびしさを紛らわそうとして打っているのかしら、とわびしさが募ってくるのです」

衣を打つ音まで、自分の感情に引き寄せているようです。

 参考文献:建礼門院右京大夫集 新潮社