何にでも書いてしまう良寛さん(2)

2.心月輪とは何か

良寛書  祥香臨

まずは読み方もいろいろあります。
「こころ、がつりんのごとし」と読み、仏教の月輪観、即ち、わが心月輪のごとしと観ずる観法の意であるとされます。(渡部秀英氏)

「心月は輪なり」と読み、輪はめぐる作用で、それが月本来の姿であり、悟りの世界は文字で表すことはできないか、あえて示せば○(まる・わ)だ、(飯田利行氏)と述べています。

また、柳田良洪氏著『覚鑁の研究』によると、その著述に『心月輪秘釈』がある。両界曼荼羅のうち、金剛界を心月輪といい、胎蔵界を心連花ということである。覚鑁は真言宗中興の祖として、宗祖空海と並び称される名僧である。*①

また、酒井大岳老師は「心月輪」は「心の月」そして「仏さま」を意味しています、と書かれています。*②
 
後の世の人は様々に来歴を斟酌するのですが、そうした解釈を超えたところに良寛の書の魅力があると言えるのではないでしょうか。

                 *出典:① 良寛の名品百選 加藤憘一
                     ② 禅の友 2019年9月